こんにちは、夢頭(ユメガシラ)です。
「転職先から入社書類として健康診断書の提出を求められたんだけど、どう対応すればいいの?」
内定後の入社準備を進めている際に、このように悩んでしまう方もいらっしゃるかもしれません。
転職先によっては、入社前に健康診断書の提出を求められることがあります。
過去に対応したことがある場合には特に問題ないでしょうが、そうでない場合にはどう対応すればいいか戸惑ってしまうかもしれません。
そこで今回は、そんな方のために『入社書類として健康診断書の提出を求められた時の対応』について書いていきたいと思います。
一応、私も社労士の資格を有しており、さらに人事部としての実務経験も8年近くありますので、多少の参考にはなるかと…。
入社書類として健康診断書の提出を求められる理由
本題に入る前に、そもそも入社書類として健康診断書の提出を求められるのは、なぜなのでしょうか?
その理由についてはいたってシンプルで、「雇い入れ時の健康診断」が法律で義務付けられているからです。
具体的には、労働安全衛生規則第43条において、以下のように定められています。
事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
上記の通り、企業が従業員を雇用する際は、健康診断を行うことが義務化されていますが、ただし書きでは、「従業員が入社前の3ヶ月以内に必要な健康診断項目を受けていれば、受診した健康診断の結果を提出することでもOK」との記載があります。
そのため、企業側は「雇い入れ時の健康診断」を実施する代わりに、入社書類として健康診断書の提出を求めてくることがあるのです。
企業側も従業員を雇い入れる度に健康診断を実施するのは大変なため、入社書類として健康診断書の提出を求めてくるのが一般的になっています。
入社書類として健康診断書の提出を求められた時の対応
それでは本題に戻って、入社書類として健康診断書の提出を求められた時は、どのように対応すればいいのでしょうか?
ただ、この点については特に難しいことはなく、転職先の指示に従えばOKです。
具体的には、受診先の医療機関が指定されているケースは、指示に従って手続きや準備を進めます。
一方、特に医療機関の指定がないケースであれば、健康診断を受診できる医療機関を自分で探す必要があります。
その場合は、「雇用時健康診断 〇〇(自分の住んでいる地域)」、もしくは「入社時時健康診断 〇〇(自分の住んでいる地域)」のワードで検索してみましょう。
そうすれば、雇用(入社)時健康診断を受診できる医療機関がヒットするため、その中から適当な医療機関を選んで予約を入れるだけです。
費用は医療機関によって異なりますが、相場は1万円前後です。
いったん自腹で受診して、入社後に経費精算してもらうのが一般的なため、領収証の紛失には注意しましょう。
なお、雇用時健康診断は保険適用外であるため、健康保険証がなくても大丈夫です。
雇用時健康診断では必須の検査項目が定められていますが、雇用時健康診断に対応している医療機関であれば、それらの検査は全て行ってくれます。
そのため、特にこちらから要望を出す必要はありません。
◆雇用時健康診断における必須の検査項目
- 既往歴・業務歴の調査
- 自覚症状・他覚症状の有無の検査
- 身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査
- 胸部エックス線検査
- 血圧の測定
- 貧血検査(血色素量・赤血球数の検査)
- 肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTPの検査)
- 血中脂質検査(LDLコレステロール・HDLコレステロール・血清トリグリセライドの量の検査)
- 血糖検査
- 尿検査(尿中の糖・蛋白の有無の検査)
- 心電図検査
受診から健康診断書が発行されるまでの期間は、だいたい1週間前後です。
中には翌日の発行が可能な医療機関もあるため、事前に確認しておきましょう。
雇用時健康診断に関するよくある質問
本章では、雇用時健康診断に関するよくある質問をQ&A形式でご紹介します。
Q.費用が自己負担になることはある?
企業によっては、自己負担になるケースもあります。
というのも、雇用時健康診断の費用の負担先については、特に法律で定めがないからです。
通常の定期健康診断は企業側が費用を負担するため、雇用時健康診断についても企業側が費用を負担するのが一般的です。
とはいえ、法律の定めがない以上、企業によっては自己負担になることもあり得ます。
Q.健康診断書の様式は何でもいい?
基本的に、様式は自由です。
健康診断書の様式は医療機関によってさまざまですが、前述の必須検査項目の抜け漏れがなければ、特に様式を気にする必要はありません。
Q.健康診断の結果によって、内定が取り消される可能性はある?
健康診断の結果によって、内定が取り消される可能性はほとんどありません。
というのも、そもそも雇用時健康診断は、労働者の適正配置や入社後の健康管理に役立てるために実施するもので、応募者の採否を決定するために実施するものではないからです(参照:新潟労働局職業安定部『採用選考時の健康診断について』)。
ただし、健康診断の結果が著しく悪く、通常業務をこなすのも難しいと判断された場合には、内定が取り消される可能性もあります。
とはいえ、そこまで健康状態が悪いのであれば、まずは治療や回復に専念した方がいいでしょう…。
Q.雇用時健康診断を省略できるケースはある?
前職の健康診断を受診したばかりで、有効期間(3ヶ月)以内の健康診断書が手元にある場合には、省略できる可能性があります。
ただし、その場合であっても、そちらの健康診断書で代用可能か、念のため転職先に確認しておきましょう。
Q.正社員以外の採用でも健康診断書の提出は必要?
必要です。
雇用時健康診断の対象は「常時使用する労働者」であるため、正社員に限定されず、契約社員やパート・アルバイトも健康診断書の提出が必要です。
Q.提出期限に間に合わない場合は?
健康診断書の発行が提出期限までに間に合わない場合は、速やかに担当者に謝罪の連絡を入れましょう。
その後は、担当者の指示に従えば問題ありません。
まとめ:健康診断はなるべく早めに受診しておこう
最後にまとめておきます。
- 入社書類として健康診断書の提出を求められるのは、法律で義務付けられているからである
- 受診先の医療機関が指定されているケースは、転職先の指示に従って手続きや準備を進める
- 受診先の医療機関が指定されていないケースは、雇用時健康診断を受診できる医療機関を自分で探して予約を入れる
入社書類として健康診断書の提出を求められたとしても、基本的に転職先の指示に従えばいいため、特に慌てる必要はありません。
ただし、健康診断を受診してから健康診断書が発行されるまでには、通常1週間前後の期間を要するため、注意が必要です。
当然と言えば当然かもしれませんが、入社書類として健康診断書の提出を求められたら、なるべく早めに対応しておきましょう。
そういえば、私の現職(『自宅警備員』)では雇用時はおろか、定期健康診断すら受診したことがありません。
この場合は、どうすればいいのでしょうか?
………。
以上、またお会いしましょう。