こんにちは、夢頭(ユメガシラ)です。
「有給休暇を取得したいけど、申請理由はなんて書けばいいの?」
有給休暇の申請をする際に、このように悩んでしまう方も多いかと思います。
有給休暇を取得するためには事前に申請が必要ですが、その際は多くの職場で申請理由を求められます。
中には申請理由を書くことに対して抵抗があり、できれば「私用のため」で済ませたいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
果たして、有給休暇の申請理由は「私用のため」で問題ないのでしょうか?
今回はこの点について、書いていきたいと思います。
一応、私も社労士の資格を有しており、さらに人事部としての実務経験も8年近くありますので、多少の参考にはなるかと…。
有給休暇の申請理由は「私用のため」で問題なし
さて、さっそく結論を申し上げますと、
「有給休暇の申請理由は、『私用のため』で問題なし」
です。
よって、有給休暇の申請をする際に、申請理由を正直に書きたくないのであれば、「私用のため」と記載しましょう。
もちろん、申請理由が「私用のため」で問題ないと言えることには、きちんとした理由があります。
これから順を追って、ご説明します。
有給休暇の申請理由は「私用のため」で問題ない理由
ではなぜ、有給休暇の申請理由は「私用のため」で問題ないのでしょうか?
理由としては、以下の2つが挙げられます。
- そもそも有給休暇の取得に理由は必要ないから
- 「私用」であれば、全ての理由をカバーできるから
①そもそも有給休暇の取得に理由は必要ないから
最大の理由はこれです。
そもそも有給休暇の取得に理由は必要ないからです。
事実、法律上では「使用者は労働者に対して有給休暇を与えなければならない」と定められているのみで、有給休暇の理由に関する規定は設けられていません(労働基準法第39条)。
にもかかわらず、有給休暇の申請時に取得理由を求められるのは、有給休暇申請書において理由欄が設けられていることが原因と考えられます。
誰が最初に有給休暇申請書のテンプレートを作ったのかは不明ですが、恐らくそこで理由欄があったため、慣習的に理由を求められるようになったのでしょう(※あくまで推測ですが…)。
このように、そもそも有給休暇の取得に理由は必要ないのです。
であれば、有給休暇の申請理由は「私用のため」でも、何ら問題ないと言えるでしょう。
②「私用」であれば、全ての理由をカバーできるから
2つ目の理由は、「私用」であれば、全ての理由をカバーできるからです。
そもそも有給休暇は労働者の権利であり、仕事を休んでリフレッシュすることが目的です。
そのため、遊び目的で有給休暇を取得したとしても、何も問題ありません。
とはいえ、みんなが働いている中で自分だけ休みを取るのに、正直に「遊ぶため」と申請するのは気が引ける方も多いでしょう。
その点、「私用のため」と申請すれば、全ての理由をカバーすることが可能です。
アイドルのコンサートに行くことも、新作ゲームを発売初日に買いに行くことも、全て「私用」に含まれます。
嘘の理由で申請した場合、もしも嘘が発覚した場合には問題になる可能性もありますが、「私用のため」で有給休暇を申請すれば、虚偽の申請にもあたりません。
このように、「私用のため」という申請理由は万能なのです。
であれば、有給休暇の申請理由は「私用のため」で統一しておくのがいいでしょう。
「私用」の詳細を聞かれた場合は?
前述の通り、有給休暇の申請理由は「私用のため」で問題ありませんが、中には「私用」の詳細を聞いてくる上司もいるでしょう。
ただ、仮に「私用」の詳細を聞かれたとしても、基本的に回答する義務はないため、「ちょっと野暮用がありまして…」といった感じで、適当にかわしておけばOKです。
とはいえ、毎回頑なに回答を拒否していると、その後の人間関係に影響を及ぼす可能性も0ではありません。
よって、その場合は「家庭の用事で…」「通院のため…」といった、無難な回答をしておくことをオススメします。
なお、「理由によっては申請を認めない」といった行為は違法です。
パワハラに該当する可能性もあるため、その場合は、さらに上の上司か人事部に相談してみましょう。
有給休暇の申請を拒否された場合は?
万が一、有給休暇の申請を拒否された場合には、どうすればいいのでしょうか?
原則として、職場側は有給休暇の申請を拒否することはできません。
しかしながら、職場側には例外的に時季変更権が認められています(労働基準法第39条5項)。
時季変更権とは、事業の正常な運営を妨げる場合においては、使用者は従業員からの有給休暇申請を別の時季に変更できる権利のことを指します。
例えば、いくら有給休暇は自由に取得できるとはいえ、従業員全員が同じ日に有給休暇を申請してきたら、職場としてはその日の営業ができなくなります。
このように、事業の正常な運営を妨げるような特別な事情があれば、職場側は「悪いが、その日は有給休暇を取得できないため、他の日に取得してくれ」と言える権利が認められているのです。
よって、有給休暇の申請を拒否された場合には、拒否する理由を聞いた上で、「いつだったら取得できるのか?」と確認するのが得策と言えます。
正当な理由がなければ、職場側も有給休暇の申請は拒否できないため、まずは冷静になって話し合ってみましょう。
有給休暇を取りやすい時期は?
本章では参考として、有給休暇を取りやすい時期をご紹介します。
もちろん職場によって状況はさまざまなため、どこの職場にも当てはまるわけではありませんが、1つの参考としていただければと思います。
具体的には、以下の4つです。
- 閑散期
- 年末年始
- 土日と祝日に挟まれた平日
- 10月
①閑散期
当然と言えば当然ですが、閑散期は有給休暇を取得する絶好のチャンスです。
閑散期であれば職場全体が暇なため、休んでも業務がたまる心配が少なく、周りの目もそれほど気にならないでしょう。
よって、繁忙期と閑散期がはっきりと分かれている職場であれば、閑散期には積極的に有給休暇を取得することをオススメします。
②年末年始
年末年始も有給休暇を取得するチャンスと言えます。
年末年始はもともと休みの職場が多いでしょうが、その前後に有給休暇を取得して、さらに大型連休にすることも可能です。
例えば、12/29~1/3が職場の休みである場合に、12/28や1/4に有給休暇を取得するのです。
世間ではクリスマス後くらいから「今年は終わり」ムードに入るため、それにつられて職場全体がのんびりモードになることも少なくありません。
そのような状況であれば、1日や2日休んだとしても、特に支障はないでしょう。
もちろん、どこの職場にも当てはまるわけではありませんが、年末年始の時期は比較的穏やかな職場であれば、有給休暇の取得を検討してみてもいいかもしれません。
③土日と祝日に挟まれた平日
土日と祝日に挟まれた平日も、有給休暇を取りやすい時期と言えます。
例えば、日曜日と火曜日の祝日に挟まれた月曜日(パターン①)や、木曜日の祝日と土曜日に挟まれた金曜日(パターン②)などです。
土 | 日 | 月 | 火 |
休日 | 休日 | ● | 祝日 |
木 | 金 | 土 | 日 |
祝日 | ● | 休日 | 休日 |
これらのケースにおいては、挟まれた平日に有給休暇を充てることで、4連休を作り出すことができます。
土日と祝日に挟まれた中途半端な平日は、何となく社会全体がダラけモードに入っている感じがあり(※あくまで個人的な感覚ですが…)、4日休んでも意外と仕事はたまりません。
このテクニックを使う人は意外と多く、まとまった休みを取りたい人には特にオススメです。
4連休であれば、旅行にも行きやすいでしょう。
④10月
意外かもしれませんが、実は10月も有給休暇を取得するチャンスです。
というのも、毎年10月は厚生労働省が「年次有給休暇取得促進期間」として、有給休暇の取得を呼びかけているからです(参照:厚生労働省『10月は「年次有給休暇取得促進期間」です』)。
であれば、10月はいくぶんか有給休暇を取得しやすいでしょう。
何しろ、国が有給休暇の取得を促進しているのですから…。
まとめ:有給休暇の申請も1つの交渉
最後にまとめておきます。
- そもそも有給休暇の取得に理由は必要ないため、申請理由は「私用のため」で何ら問題ない
- 「私用のため」で申請しておけば全ての理由をカバーでき、虚偽の申請にもあたらない
- 仮に「私用」の詳細を聞かれたとしても、基本的に回答する義務はない
- もし有給休暇の申請を拒否された場合には、「いつだったら取得できるのか?」と確認する
◆有給休暇を取りやすい時期
- 閑散期
- 年末年始
- 土日と祝日に挟まれた平日
- 10月
繰り返しになりますが、そもそも有給休暇の取得に理由は必要ないため、申請理由は「私用のため」で問題ありません。
有給休暇は労働者の当然の権利であるため、遊ぶ目的で有給休暇を申請する場合であっても、負い目を感じる必要はありません。
とはいえ、職場側にも事情があるため、「他の日に取得してほしい」旨の相談があった場合には、極力応じるようにしましょう。
大げさかもしれませんが、有給休暇の申請も1つの交渉と言えます。
職場の事情も考慮し、なるべく取りやすい時期に申請すれば、すんなりと有給休暇を取得できるようになるでしょう。
来週の月曜日は『私用』のため、有給休暇をいただきます!
『私用』であれば、『しよう』がないですね…。
▼退職時の有給休暇の買取の可否については、下記の記事をご参照ください。
以上、またお会いしましょう。