こんにちは、夢頭(ユメガシラ)です。
「このご時世において、わざわざ財形貯蓄を活用する意味はあるの?」
実際に財形貯蓄を利用していたり、これから始めようかと考えていたりする方であれば、このような疑問を抱くことがあるかもしれません。
財形貯蓄(勤労者財産形成貯蓄制度)とは、従業員の貯蓄や持家取得の促進を目的として、給与から一定の金額を天引きして貯蓄を行う制度のことです。
財形貯蓄を福利厚生の1つとして採用している職場であれば、担当部署(たいていは人事部)に申し込めば、いつでも財形貯蓄を始めることができます。
財形貯蓄は毎月の給与から積立額が天引きされるため、確実に貯金ができる点がメリットです。
しかしながら、それ以外に特にこれといったメリットは見当たらず、中には「あえて財形貯蓄を活用することに意味はあるのか?」と疑問を抱く方もいらっしゃるかもしれません。
果たして財形貯蓄は、本当に意味がないのでしょうか?
今回はこの点について、書いていきたいと思います。
一応、私も社労士の資格を有しており、さらに人事部としての実務経験も8年近くありますので、多少の参考にはなるかと…。
結論は財形貯蓄にほとんど意味はない
さて、さっそく私なりの結論を申し上げますと、
「財形貯蓄にほとんど意味はない」
です。
もちろん全く無意味というわけではなく、別に財形貯蓄を否定したいわけでもありません。
しかしながら、「今の時代にあえて財形貯蓄を選択する必要性は薄い」というのが、私の見解です。
どういうことか、これから順を追ってご説明します。
財形貯蓄にほとんど意味がない理由
ではなぜ、財形貯蓄にはほとんど意味がないと言えるのでしょうか?
理由としては、以下の2つが挙げられます。
- 金利が低いから
- 他にも有効な選択肢があるから
①金利が低いから
財形貯蓄の金利は金融機関によって異なるものの、だいたい0.01%前後であり、お世辞にも高いとは言えません。
金利0.01%では、100万円を1年間貯蓄しても100円の利息しかつかない計算です。
これではハーゲンダッツはおろか、あんパンすら買えません…。
確かに一般的な普通預金の金利(0.001%前後)よりは高いものの、正直「ふーん…」という程度のものです。
しかも最近は、条件を満たせば金利0.1~0.2%になるネット銀行も増えており、財形貯蓄の金利を上回っている状況です。
このように、金利の面から見れば、財形貯蓄を行う意味はほとんどないと言えるでしょう。
②他にも有効な選択肢があるから
一応、財形貯蓄の金利はメガバンクの普通預金の金利よりかは高いため、全くメリットがないわけではありません。
しかしながら、それだけの理由で財形貯蓄を利用するのは、もったいないと言えます。
というのも、他にも有効な資産運用の方法がいくつもあるからです。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
- iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)
- NISA(少額投資非課税制度)
iDeCoは、自分で運用する私的年金制度の1つです。
iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となるため、所得税と住民税が軽減されるのが最大のメリットです。
他にも、「運用益が非課税になる」「受取時に税制優遇が受けられる」など、大きな節税効果が期待できます。
一方のNISAは、個人の資産形成を促すための税制優遇制度です。
NISAの最大のメリットは、発生した運用益が全て非課税となる点です。
通常の投資で生じた運用益には20.315%の税金がかかりますが、NISAは一切税金がかからないため、非常に優遇されています。
このように、上記2つは財形貯蓄よりも遥かに魅力的であると言えます。
もちろん、iDeCoやNISAの運用がうまくいけば、財形貯蓄よりも遥かに高い金利を得ることができます。
他にも株式投資や不動産投資、仮想通貨など、長期的にお金を増やしたいのであれば、いくらでも選択肢はあります。
確かに投資にはリスクがあり、元本割れを起こして損をする可能性もありますが、それを差し引いても財形貯蓄以上の魅力があると言えます。
特に最近は「老後2,000万円問題」が話題となっており、個人での資産運用の必要性はますます高まっています。
そのような状況において、わざわざ低金利の財形貯蓄を選択する意味はほとんどないと言えるでしょう。
財形貯蓄が向いている人
さて、いくら「財形貯蓄にほとんど意味がない」とは言っても、中には財形貯蓄を利用することでメリットを享受できる人も存在します。
そこで本章では、財形貯蓄が向いている人をご紹介します。
具体的には、以下の通りです。
- めんどくさがり屋な人
- 浪費癖がある人
- 住宅ローンの融資を受けたい人
めんどくさがり屋な人
財形貯蓄は毎月の給与から自動的に天引きされるため、めんどくさがり屋な人に向いていると言えます。
財形貯蓄の他にも自動積立のサービスは色々とありますが、それらは指定の口座の残高が不足していると積立が行われないため、場合によっては口座間での資金移動が必要です。
その点、財形貯蓄であれば給与から天引きされるため、口座の残高不足を気にする必要がありません。
ほったらかしでも、毎月確実に貯蓄が行われます。
また、財形貯蓄は解約や引き出しをする際も手続きが必要なため、めんどくさがり屋な人には途中解約を抑制する効果もあると言えるでしょう。
浪費癖がある人
財形貯蓄は、浪費癖がある人にも向いています。
というのも、財形貯蓄は税金や社会保険料のように給与から天引きされ、強制的に手取りの金額が少なくなるからです。
「給与が振り込まれるとすぐに使ってしまう」というような浪費癖がある人でも、手元にお金がなければ浪費のしようがありません。
やや荒療治ではありますが、浪費癖があってどうしても貯金ができないという方は、財形貯蓄を利用するのも1つの手です。
ただし、財形貯蓄の設定額は無理のない範囲にしておきましょう。
手取り額が少なすぎて生活ができなくなってしまっては、元も子もありませんので…。
住宅ローンの融資を受けたい人
財形貯蓄を行っていると、財形貯蓄を行っている人だけが利用できる住宅ローンの融資(財形住宅融資)を受けることができます。
財形住宅融資を受けるための条件は、以下の通りです。
- 財形貯蓄を1年以上継続している
- 申込日前2年以内に財形貯蓄への預け入れがある
- 財形貯蓄の残高が50万円以上ある
これらの条件を満たせば、財形貯蓄の残高の10倍(最高4,000万円)までの融資を受けることが可能です。
よって、将来的に住宅ローンの融資を受けたいと考えている人にも、財形貯蓄は向いていると言えるでしょう。
まとめ:何の考えもなしに財形貯蓄を活用するのは早計
最後にまとめておきます。
◆財形貯蓄にほとんど意味がない理由
- 金利が低いから
- 他にも有効な選択肢があるから
◆財形貯蓄が向いている人
- めんどくさがり屋な人
- 浪費癖がある人
- 住宅ローンの融資を受けたい人
繰り返しになりますが、財形貯蓄は全く無意味というわけではなく、別に財形貯蓄を否定したいわけでもありません。
しかしながら、現在は昭和の頃とは違い、財形貯蓄の他にもさまざまな選択肢があるため、何の考えもなしに財形貯蓄で資産形成を図るのはやや早計と言えます(※あくまで個人的な見解ですが…)。
今や、自分のお金は自分で増やす時代です。
しっかりと将来を見据えて、納得のいく資産形成をしていきましょう。
私は「タンス預金」という、最も合理的な資産運用をしているため、問題ございません!
………。
以上、またお会いしましょう。