こんにちは、夢頭(ユメガシラ)です。
退職月の最終給与は、いつもより感慨深いものです。
何しろ、本当にその職場での最後の給与になるわけですから。
「グッバイ、前の職場…」
なんて少し感傷的になりながら、最終給与の振込を確認してみたら…、
「アレッ⁉何かいつもより手取り額が少なくないか?」
なんてことが起こる可能性があります。
もしくは、経験された方がいらっしゃるかもしれません。
一般的に退職月の給与は、手取り額が少なくなるケースが多くなります。
それはなぜでしょうか?
今回はこの点について、書いていきたいと思います。

一応、私自身も人事部で8年以上の給与計算の経験があるので、多少の参考にはなるかと…。
まずは給与明細を確認しましょう
手取り額が少なくなるのには、何かしら原因があるハズです。
まずは冷静になって、給与明細を確認してみましょう。
いきなり「嫌がらせを受けた!」と決めつけるのは、早計です。
くれぐれもカッとなって、いきなり前の職場に殴り込みにいくのはやめておきましょう…。

そもそも退職月の給与明細が、手元にないのですが…。

その場合は、前の職場に連絡してみましょう。
たとえ最後は有給休暇消化で出勤していなかったとしても、給与明細はもらえます。
手取り額が少なくなる原因
それでは、手取り額が少なくなる原因を見ていきましょう。
①日割り項目がある
一番考えられる原因がコレです。
月給と言っても、基本的にはその月の要勤務日数(その月に勤務しなければならない日数)を満たしていない時には、基本給なども日割り計算されてしまいます。
例えば、給与の締め日が月末の職場でその月の15日付けで退職すれば、基本給などはだいたい半分くらいになるハズです。
これについては、働いていない分の給与が支払われないのは当然といえば当然なので、致し方ないでしょう。
②社会保険料が2ヶ月分控除されている
次に考えられるのは、社会保険料です。
通常、毎月の給与から控除される社会保険料は1ヶ月分ですが、退職月には2ヶ月分控除される可能性があります。
※ここでの社会保険料とは、「健康保険料」と「厚生年金保険料」の2つで、「雇用保険料」は関係ありません。
毎月の給与から控除されている社会保険料は、前月の社会保険料です。
例)9月の給与から控除されているのは、8月の社会保険料
それで、少しややこしいのですが、以下の2つのポイントを理解する必要があります。
- 給与から社会保険料が控除されるのは、社会保険の資格喪失日が属している月の前月までになる。
- 社会保険の資格喪失日は、基本的に退職日の翌日になる。
これだけでは非常にわかりづらいと思いますので、9/30が退職日となる場合を例にしてみましょう。
9/30に退職した場合は、退職日の翌日の10/1が社会保険の資格喪失日になります。
よって社会保険上は、10月もその職場に属していたことになり、その前月である9月分の社会保険料も納める(給与から控除される)必要があります。
一方、9月給与から控除されるのは、その前月の8月分の社会保険料です。
本来は、9月分の社会保険料は10月給与から控除されるものですが、9/30退職となると9月給与が最終給与となってしまうため10月給与が発生せず、9月分の社会保険料を控除できなくなってしまいます。
よって、9月給与からは結果として、8月分と9月分の社会保険料の2ヶ月分が控除されてしまうのです。
ちなみに、9/29が退職日の場合には、その翌日の9/30が資格喪失日になるため、退職月の社会保険料控除は通常の1ヶ月分で済みます。
基本的には、「社会保険料が2ヶ月分控除されるのは、月の末日に退職した場合のみ」という認識で、問題ないかと思います。
たまに勘違いされている方がいらっしゃいますが、社会保険料が2ヶ月分控除されたからといって、年間のトータルの社会保険料が多くなるわけではありません。
前の職場で納める(控除される)のか、次の職場もしくは自分で納めるのかの違いになります。
③住民税が多め(2~5ヶ月分)に控除されている
その次に考えられるのは、住民税になります。
ただ、住民税が影響してくるのは、1~5月に退職した場合限定になります。
住民税はやや特殊でして、4月~3月ではなく6月~5月が1年のサイクルになります。
通常は、給与から1ヶ月分ずつ控除されているのですが、1~5月に退職した場合には、その年に納める住民税の残りが退職月の給与から一括で控除されてしまいます。
なので、1月退職であれば5月までの5ヶ月分、2月退職であれば5月までの4ヶ月分の住民税が、最終給与から控除されてしまいます。

これは役所の都合らしく、取りっぱぐれを防ぎたいためだそうです…。
ここでも社会保険料と同様に住民税を前払いしているだけであって、年間の住民税総額が変わるわけではありません。
なのですが、仮に1月に退職した場合には5ヶ月分の住民税が控除されてしまうため、影響はかなり大きいと思います…。
④通勤手当の前払い分の調整(払い戻し)がある
あとは、通勤手当の前払い分の調整(払い戻し)も考えられます。
職場によって通勤手当の支給方法は異なると思いますが、3ヶ月・6ヶ月分の定期代が支給されている場合には、発生する可能性が高いです。
例えば、4月に4~9月の6ヶ月分定期代が支給されている場合を考えてみましょう。
この職場で仮に6/30に退職した場合は、7~9月の3ヶ月分の定期代は本来支給されるものではないため、調整(払い戻し)が必要になるでしょう。
※仮に1ヶ月分の定期代の支給であっても、月の途中で退職した場合には、日割調整がされる可能性があります。
いずれにしても、遠方からの出勤等で通勤費が高い方は、調整(払い戻し)が発生する場合には注意が必要でしょう。
⑤独自の控除がある
これは職場によって千差万別でしょうが、独自の控除が発生する場合もあります。
例えば、職場から備品や制服などが貸与されている場合です。
これらは退職前に返却することになると思いますが、もしも壊していたり汚していたりした場合には、その修繕費等が退職月の給与から控除される可能性があります。
基本的には独自の控除が発生する可能性がある場合には、事前の説明があるハズです。
何の説明もなく退職月に謎の項目で控除が発生していた場合には、一度確認した方がよいかと思います。
給与計算はミスが多い
以上が、退職月の給与が少なくなる主な原因です。
もしも、「何度も確認したが、明らかにおかしい箇所がある」という場合には、
今度こそ、殴り込み!!!
………ではなく、前の職場の担当部署(人事部等)に連絡してみましょう。
単純に処理ミスの可能性の方が高いからです。
実は、私も人事で8年近く給与計算の経験があるのですが…、
給与計算はミスがよく発生します。
これは本当に申し訳ないのですが、事実です。
特に退職者の最終給与は、イレギュラーな事項も多く、ミスの発生率が高くなります。

私も結構やらかしました…。
なので、まずは担当部署に冷静に連絡をしてみましょう。
あくまで冷静にです。
温度感高めで連絡して、もし自分の勘違いだったら結構恥ずかしいので…。
もちろん向こうの処理ミスでしたら、差額はきちんと後日に支払ってくれるハズです。
とりあえず「間違いが発覚したとしても、それは単純な処理ミスである」ということを、ご理解いただけると幸いです(元そこで処理していた人間からすると…)。
仮に円満退職ではなかった場合には、「嫌がらせを受けた!」みたいに感じてしまうことがあるかもしれません。
ですが、普通の職場であれば人間関係や退職関係のトラブルを理由に、給与を減らすことはしないですし、そもそもできません。
繰り返しになってしまいますが、仮に間違いがあったとしても、単純な処理ミスが原因という場合がほとんどですので、そこは寛容なご対応をお願いできればと思います…。
まとめ:手取り額が少ないのには、きちんとした理由がある
最後にまとめておきます。
◆退職月の給与が少なくなる原因
- 日割り項目がある
- 社会保険料が2ヶ月分控除されている
- 住民税が多め(2~5ヶ月分)に控除されている
- 通勤手当の前払い分の調整(払い戻し)がある
- 独自の控除がある
もちろん他にも細かい原因は考えられますが、退職月の給与が少なくなる主な原因は、こんなところかと思います。
いずれにせよ、日割りや払いすぎたものの調整あるいは法律に基づくものなど、手取り額が少なくなっているのには、きちんとした理由があるハズです。
もしも理解できない謎の控除などが発生していたら、気は進まないかもしれませんが、担当部署に問い合わせてみることをオススメします。
次のステップに気持ちを切り替えるためにも、前の職場とのわだかまりは残さないようにしておきましょう。

退職後は遊んでばかりだったので、いつもより給与の減りが激しかったような気がします。
これも手取り額が少なくなった要因なのでしょうか?

それは自業自得です…。
以上、またお会いしましょう。