こんにちは、夢頭(ユメガシラ)です。
突然ですが、つい最近、転職しました。
本当に唐突ですね…。
でも、何だか浮かない顔をしているようですが?
実は、現在は試用期間中なのですが、試用期間中の給与が本採用時の給与より低いのです。
これって違法ではないのでしょうか?
そうでしたか…。
でも残念ながら、違法ではないのです。
試用期間とは、企業側が従業員としての適性(勤務態度や能力等)を判断するために設けられている期間を指し、多くの職場で設けられています。
試用期間は、いわば「お試しの期間」であり、本採用時の給与より低く設定されているケースも散見されます。
実際、大企業もこのような運用をしていることからもわかるように、試用期間中の給与を本採用時の給与より低く設定することは、違法ではありません。
とはいえ、試用期間はあくまで長期の労働契約を前提として設けられているため、本採用時に比べて過度に待遇を低くすることは認められていません。
そこで今回は、試用期間中の待遇についての注意点をまとめてみました。
試用期間中の方や直近で転職予定の方は、ご自身の待遇が適正であるかどうか、この機会に一度ご確認ください。
一応、私も社労士の資格を有しており、さらに人事部としての実務経験も8年近くありますので、多少の参考にはなるかと…。
▼試用期間の過ごし方のポイントについては、下記の記事をご参照ください。
試用期間中の待遇についての注意点
それではさっそく、試用期間の待遇についての注意点を見ていきましょう。
具体的には、以下の通りです。
- 給与の減額について
- 残業代について
- 各種手当について
- ボーナスについて
- 社会保険の加入について
- 時給制の採用について
給与の減額について
前述の通り、試用期間中の給与を本採用時の給与より低く設定することは、違法ではありません。
しかしながら、職場側の裁量でいくらでも給与を低くすることが認められていては、労働者の生活が立ち行かなる危険があります。
そのため、あくまで個人的な見解ではありますが、試用期間中の給与は、最低でも本採用時の金額の90%は確保されるべきでしょう。
一応、あらかじめ労働局長の許可を得ていれば、最低賃金を下回る給与で雇用契約を結ぶことは可能です(最低賃金法第7条)。
しかしながら、実際にそのような運用を行っているところは、労働者の事情を無視した危険な職場と言わざるを得ません。
前述の通り、試用期間は長期の労働契約を前提として設けられているため、労働者の生活のことを考慮すれば、やはり本採用時の金額の90%は確保されてしかるべきだと思います。
残業代について
法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた分の残業手当や休日出勤手当は、試用期間中であっても必ず支払われます。
これらが試用期間であることを理由に支払われない場合は、労働基準法違反となります。
※「試用期間中は基本給のみ」と定められていても、残業代は関係ありません。
また、みなし残業代(固定残業代)が導入されている職場であれば、それを超えた分の残業代が支払わなければなりません。
みなし残業代(固定残業代)とは、あらかじめ一定時間の残業を見込み、その時間分の残業代を給与に含めて支給する制度のことです。
例えば、月20時間分のみなし残業代(固定残業代)が定められている場合には、その月に残業を一切していなくても手当の満額が支給され、仮にその月に24時間残業した場合には、差額の4時間分の残業手当が追加で支給されます。
いずれにせよ、試用期間中であることを理由に、残業代が支払われないということはあり得ません。
残業代がきちんと支払われているか、給与明細を一度確認しておきましょう。
今後のためにも、その職場の残業手当の仕組みを理解しておくことをオススメします。
各種手当について
家族手当や住宅手当などの各種手当(※残業手当は除く)について、試用期間中は支給しないという運用は原則として問題はありません。
ただ、「原則として問題はない」とは言っても、手当の不支給により本採用時の支給額の90%を下回っている場合には、注意が必要です。
各種手当の金額が大きい職場であれば、試用期間中であっても各種手当は満額支給するのが通常です。
ましてや、試用期間中は通勤手当すら支給しないという職場は、要注意と言えるでしょう。
ボーナスについて
ボーナスについては、完全に職場の定めによります。
そもそもですが、企業に「ボーナスを支給しなければならない」という決まりはありません。
よって、試用期間中の人間には支給しないというルールが定められていたとしても、特に問題はないのです(※職場によっては、試用期間中だけに限定せず、「入社半年未満の者には支給しない」と定めているケースもあります)。
試用期間中にボーナスが支給されるかどうかは、就業規則(賃金規定)で確認するようにしてください。
就業規則(賃金規定)の確認方法がわからなければ、担当部署(人事部など)に聞いてみましょう。
社会保険の加入について
試用期間であっても、社会保険には入社日から原則加入となります。
『社保完備』と謳っておきながら、加入は本採用からという定めは違法です。
最近は年金事務所等の監視も厳しくなっているので、このような運用を行っている職場はほとんど存在しないとは思います。
ただ、零細企業などは未だにこのような運用を行っている場合があるため、注意が必要です。
時給制の採用について
たまに本採用時は月給制でも、試用期間中は時給制を採用している職場がありますが、これも違法ではありません。
ただしその場合であっても、試用期間中の時給が、本採用時の月給を時給換算した時の金額よりも著しく低く設定されていることがあるため、注意が必要です。
例えば、
月給が240,000円で所定労働時間が160時間の場合 → 時給換算額:『@1,500円』
となるため、試用期間中の時給が『@1,500円』より遥かに低い『@1,200円』と設定されているような職場は、要注意です。
試用期間中が時給制の場合には、時給換算の金額にも注意を払ってみてください。
まとめ:試用期間の待遇の取り扱いで、その職場の誠実性がわかる
最後にまとめておきます。
- 試用期間中の給与を本採用時の給与より低く設定することは違法ではないが、最低でも本採用時の金額の90%は確保されるべきである
- 残業手当や休日出勤手当は、試用期間中であっても必ず支払われる
- 各種手当やボーナスが支給されるかどうかは、職場のルールによる
- 試用期間であっても、社会保険には入社日から原則加入となる
- 試用期間中のみ時給制であっても違法ではないが、時給換算額が著しく低くないか注意が必要である
試用期間中の待遇は、基本的には職場側に裁量権があります。
とはいえ、労働者の生活を無視するような過度な冷遇は、許容できるハズはありません。
繰り返しになりますが、そのような職場は基本的に危険と言わざるを得ないでしょう。
たとえ試用期間中であっても、その職場の従業員の一人であることには変わりありません。
よって、「試用期間の待遇の取り扱いで、その職場の誠実性がわかる」と言っても、過言ではないかと思います。
それで、あれから転職先には慣れましたか?
いえ、転職先は3日で辞めてきました。
やっぱり私には、『自宅警備員』こそが天職だと悟りましたので。
………。
以上、またお会いしましょう。