こんにちは、夢頭(ユメガシラ)です。
「退職月の給与は、いつもよりも手取り額が少なくなるって聞くけど、それって本当なの?」
既に退職済み、もしくは退職予定であれば、このような疑問をお持ちの方も多いかと思います。
一般的に退職月の給与は、手取り額が少なくなるケースが多くなります。
それはなぜなのでしょうか?
今回はこの点について、書いていきたいと思います。
一応、私も社労士の資格を有しており、さらに給与計算の経験も8年以上ありますので、多少の参考にはなるかと…。
まずは給与明細を確認しましょう
退職月の給与の手取り額が少なくなるのには、何かしら原因があるハズです。
まずは冷静になって、給与明細を確認してみましょう。
いきなり「嫌がらせを受けた!」と決めつけるのは、早計です。
こんな感じで、いきなり前の職場に殴り込みにいくのはやめておきましょう…。
そもそも退職月の給与明細が、手元にないのですが…。
その場合は、前の職場に連絡してみましょう。
たとえ最後は有給休暇の消化で出勤していなかったとしても、給与明細はもらえます。
▼自己都合退職を理由に給与が減額される可能性については、下記の記事をご参照ください。
退職月の給与の手取り額が少なくなる原因
ではなぜ、退職月の給与は手取り額が少なくなることが多いのでしょうか?
主な原因としては、以下の5つが挙げられます。
- 日割り項目がある
- 社会保険料が2ヶ月分控除されている
- 住民税が多め(2~5ヶ月分)に控除されている
- 通勤手当の前払い分の調整(払い戻し)がある
- 独自の控除がある
①日割り項目がある
退職月の給与の手取り額が少なくなる1つ目の原因は、日割り項目の存在です。
月給とはいえ、基本的にはその月の要勤務日数(その月に勤務しなければならない日数)を満たしていない場合には、基本給なども日割り計算されてしまいます。
例えば、給与の締め日が月末の職場でその月の15日付けで退職すれば、基本給などはだいたい半分くらいになるハズです。
働いていない分の給与が支払われないのは、当然と言えば当然であるため、日割り項目については致し方ないでしょう。
②社会保険料が2ヶ月分控除されている
退職月の給与の手取り額が少なくなる2つ目の原因は、社会保険料が2ヶ月分控除されている点です。
通常、毎月の給与から控除される社会保険料は1ヶ月分ですが、退職月には2ヶ月分控除される可能性があります。
※ここでの社会保険料とは、「健康保険料」と「厚生年金保険料」の2つで、「雇用保険料」は関係ありません。
毎月の給与から控除されている社会保険料は、前月の社会保険料です。
例)9月の給与から控除されているのは、8月の社会保険料
それで、少しややこしいのですが、以下の2つのポイントを理解する必要があります。
- 給与から社会保険料が控除されるのは、社会保険の資格喪失日が属している月の前月までになる
- 社会保険の資格喪失日は、基本的に退職日の翌日になる
これだけでは非常にわかりづらいと思いますので、9/30が退職日となる場合を想定してみましょう。
9/30に退職した場合は、退職日の翌日の10/1が社会保険の資格喪失日になります。
よって、社会保険上は10月もその職場に属していたことになり、その前月である9月分の社会保険料も納める(給与から控除される)必要があります。
一方、9月給与から控除されるのは、その前月の8月分の社会保険料です。
本来は、9月分の社会保険料は10月給与から控除されるものですが、9/30退職となると9月給与が最終給与となってしまうため10月給与が発生せず、9月分の社会保険料を控除できなくなってしまいます。
結果的に、9月給与からは、8月分と9月分の社会保険料の2ヶ月分が控除されてしまうのです。
ちなみに、9/29が退職日の場合には、その翌日の9/30が資格喪失日になるため、退職月の社会保険料控除は通常の1ヶ月分で済みます。
基本的には、社会保険料が2ヶ月分控除されるのは、月の末日に退職した場合のみという認識で、問題ないかと思います。
たまに勘違いされている方がいますが、社会保険料が2ヶ月分控除されたからといって、年間での社会保険料が13ヶ月分になるわけではないため、その点はご安心ください。
前の職場で納める(控除される)のか、次の職場もしくは自分で納めるのかの違いだけです。
③住民税が多め(2~5ヶ月分)に控除されている
退職月の給与の手取り額が少なくなる3つ目の原因は、住民税が多め(2~5ヶ月分)に控除されている点です。
ただし、住民税が影響してくるのは、1~4月に退職した場合限定です。
住民税のサイクルはやや特殊で、通常の4月~翌年3月ではなく、6月~翌年5月が1年のサイクルとなっています。
基本的に住民税は、給与から1ヶ月分ずつ控除されるのですが、1~4月に退職した場合には、その年に納める住民税の残りが退職月の給与から一括で控除されてしまいます。
よって、仮に1月に退職したら5月までの5ヶ月分、2月に退職したら5月までの4ヶ月分の住民税が、最終給与から一括で控除されてしまいます。
これは役所の都合らしく、取りっぱぐれを防ぐことが目的だそうです…。
あくまで前払いであるため、年間トータルの住民税額が変わるわけではありません。
とはいえ、仮に1月に退職した場合には、5ヶ月分の住民税が控除されてしまうため、影響は大きいでしょう。
④通勤手当の前払い分の調整(払い戻し)がある
退職月の給与の手取り額が少なくなる4つ目の原因は、通勤手当の前払い分の調整(払い戻し)の存在です。
職場によって通勤手当の支給方法は異なりますが、3ヶ月・6ヶ月分の定期代がまとめて支給される場合には、払い戻しが発生する可能性が高くなります。
例えば、4月に4~9月の6ヶ月分定期代が支給されている場合を考えてみましょう。
この職場で仮に6/30に退職した場合は、7~9月の3ヶ月分の定期代は本来支給されるものではないため、調整(払い戻し)が必要になります。
仮に1ヶ月分の定期代の支給であっても、月の途中で退職した場合には、日割調整がされる可能性があります。
いずれにしても、遠方からの出勤で通勤費が高額な場合には、調整(払い戻し)が発生すると手取り額が大きく減ってしまうため、注意が必要です。
⑤独自の控除がある
退職月の給与の手取り額が少なくなる5つ目の原因は、職場独自の控除の存在です。
独自の控除とは、例えば、職場から備品や制服などが貸与されている場合の修繕費などです。
備品や制服などは退職前に返却することになりますが、もしも壊していたり汚していたりした場合には、その修繕費等が退職月の給与から控除される可能性があります。
基本的には独自の控除が発生する場合には、事前の説明があるハズです。
何の説明もなく退職月に謎の項目で控除が発生していた場合には、一度確認した方がいいでしょう。
給与計算はミスが多い
前章で退職月の給与が少なくなる主な原因について、ご紹介しました。
手元の給与明細を参照しながら、これらの原因に当てはまっていないか確認してみましょう。
万が一、「何度も確認したが、明らかにおかしい箇所がある」という場合には…、
今度こそッ‼
………ではなく、前の職場の担当部署(人事部等)に連絡してみましょう。
というのも、単純に処理ミスの可能性の方が高いからです。
実は、私も人事で8年近く給与計算の経験があるのですが、給与計算はミスがよく発生します。
これは本当に申し訳ないのですが、事実です。
特に退職者の最終給与は、イレギュラーな事項も多く、ミスの発生率が高くなります。
私も結構やらかしました…。
なので、まずは担当部署に冷静に連絡をしてみましょう。
あくまで冷静にです。
温度感高めで連絡をして、もし自分の勘違いだった場合には、かなり恥ずかしいので…。
仮に円満退職ではなかった場合には、「嫌がらせを受けた!」と感じてしまうことがあるかもしれません。
しかし、普通の職場であれば、人間関係や退職関係のトラブルを理由に給与を減らすことはしないですし、そもそもできません。
繰り返しになりますが、仮に間違いがあったとしても、それは単純な処理ミスである場合がほとんどです。
よって、そこは寛容なご対応をお願いできればと思います…。
まとめ:退職月の給与が少なくなるのには、きちんとした理由がある
最後にまとめておきます。
◆退職月の給与が少なくなる原因
- 日割り項目がある
- 社会保険料が2ヶ月分控除されている
- 住民税が多め(2~5ヶ月分)に控除されている
- 通勤手当の前払い分の調整(払い戻し)がある
- 独自の控除がある
もちろん他にも細かい原因は考えられますが、退職月の給与が少なくなる主な原因は、上記の通りです。
いずれにせよ、日割りや払いすぎたものの調整、あるいは法律に基づくものなど、退職月の給与が少なくなるのには、きちんとした理由があるハズです。
もしも理解できない謎の控除などを発見したら、気は進まないかもしれませんが、担当部署に問い合わせてみることをオススメします。
次のステップに気持ちを切り替えるためにも、前の職場とのわだかまりは極力残さないようにしておきましょう。
私は退職後は遊んでばかりだったので、いつもより給与の減りが激しかったような気がします。
これも手取り額が少なくなった要因なのでしょうか?
それは自業自得です…。
以上、またお会いしましょう。